純粋理性批判

カントの純粋理性批判を、大学時代に読めなかったのは、大変かっこ悪いことだった。哲学にとどまらず神学や物理学などを研究する人にも必ずや読まれるべき書物だろう。この本には、10年ほどの価値があるかも知れない。何故、こんなことを言うのかと言えば、誰しも形而上の認識を転がすだろうけれど、形而上認識の臨界点に自覚的でないからだ。そんな柔な認識のままで、やれ研究だ、やれ執筆だ、なんておこがましく感じる。これは古典だが、この古典を克服しない新しさなんてないだろうし、あったとしたら、その新しさは害だろう。たとえば、巷にあふれる新興宗教は良い例だ。また手前勝手な啓発本なども然り。人を勧誘するに足るだけ学びたまえ。世の中には君みたいにお安い人間ばかりではないのだから。かくいうぼくも、この古典の巨大さにしばらくは立ち往生せざるを得ないだろう。だが、この認識観が世に広まれば、害ある無意味さを牽制できる。そして、ぼくらは一層鮮明な概念を体得できるはずだ。そういう予感が、この本を読む衝動の源なのだ。

著者