自動筆記(シュルレアリスム)

ある人に自動筆記というのを教えられた。キミ、シュルレアリストなのに、そんなことも知らないの?って。ぼくは4日前から変な暗示が強くなり、霊的感度が増して、秋の空に滅びそうになってくる。最近は云うことがいっそう支離滅裂になったみたいだ。コトバも出てこない以前に忘れてしまって、酔ったような声で、コトバでからっぽを抱いている可哀想。ぼくを唯一生かすもの、それはリズムで、そいつにぼろ雑巾みたく引きずられる毎日を過ごして、風俗にいくために働いているみたいになってもいる。なるべくなら、いっそのこと幽体離脱しようと酒を一日中飲んで、引きこもってオナニーをして寝ての繰り返しをして、来てしまう朝を憎んだ。云われのない世界に云われのない自我が騙しあってなれ合って、抱きしめあって、でも、からっぽで、シンナーを吸う。神保町は東京のパリだと、憂うつと幻想と虚無のなか、ずぶ濡れになって、いつかは理性のない虫けらになれるかもしれない。皮膚を引きちぎって火にくべて、ハイビスカスのように焼けて、乳首が腫れたように膨らんで、汗が甘酸っぱく、思い出を揺れて、犬になれたら良い、犬にね!そしていつしか尻尾をふって、ここホレ、わんわん、ここホレ、わんわんと墓穴を掘って射精する。きらびやかな瞳にどしゃぶりの傘が雪のような夕暮れさ。どうして死んでしまったの?歌詞からはじまる音楽は滅びないのに、偉そうな影は、金のための音楽をおもわしげに、これでもかというほど飴に変える。いってみれば、ちっぽけな命に賭けるもののない哀れさが、やがて機械化への虚無を喜んで促すだろう。そのころにはいわゆるぼくもキミもいなくて、他の誰かしらのぼくとキミが不条理に黒板に歯ぎしりするだろう。たくさん逃げて踊って人を刺して泣いて、笑おうとして、新しい病名を探す。罪名を探すのは、優しさ以外のなにものでもない。ぼくを殺して、でも世界は相応に誰かにあって、歴史は皮算用の裏書きくらい、見えない人の手引きにもなりゃしない。世界の最後にしゃがれた声でパトラッシュに語るような優しい声で、「おやすみ」と言える瞬間を、探していたことだけかすかに覚えている。

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