産みの苦しみの明るさ

作品を仕上げるには、わりにあわないほど膨大な数の作品らしきものを書く。そのほとんどをぎりぎりまで取り除いてしまい、あとにわずかでも結晶が残っていたら、たったそれだけの光で宇宙の闇の大きさに匹敵する。はじかれていく無数の作品らしきものは、決して無駄ではなく本質的な習作の産物だ。これを産みの苦しみと言ったりするだろう。しかし、その苦しみさえ既にうっすら自明に悦びに含まれている。その苦しみはポジティブなのだ。そこに生の悦びのほとんどがある。ほんとうの苦しみは、純粋な感動で出来ている。

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