夏の夜は

時間がないんだ。寝る間を惜しむ体力がないのかもしれないけど。いずれにしても足りないんだ。余裕があればソシュールの本なんか読みたい。多くの人やものを平等に愛することはできない。好きな人やものがたくさんあって、生まれ変わったらその時はよろしくみたいな、そんな目配せもきっと世の中そこらにあって。逆にぼくは万人から愛されるほどには強くできていなくて。それでも、どうしてか結びつけようとする不思議な力も働いていて。出会いきる入口は、今生の別れを抱き合わせて巡り。惰性は、今を生きるのに臆病になったからか。添い寝して修学旅行の夜みたいに、なにか遠くのところまで話がしたい。夏の夜は。

著者