夏の終わり


夏の終わりの気配を知ると、忽ち、空の行方や漂う空気に所在をなくし、下高井戸の踏み切りの前で通り過ぎる京王線の何本かを、なんの思考を帯びず、よくわからぬ感慨をひとしきり受け入れるだけです。


雪のひかりのような夏の朝は静か、地獄を肯定し終えたあとの濃い緑が、なだらかに後退していき、そのぶん空の青がこころなしか遠くなって、クラスター粒子の微風が腹部やこめかみをすりぬけていきます。


わたしのひとつの夏は、終わる。

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