観念の疾走

意味が追いついてしまうと
落ちるので
わたしまだまだ走るのですが
後ろに誰もいないのさみしいから
たまには声を聴いてほしいと思うもの
イメージの海を渡っていると
戸惑ったあなたは
ちょっと待ってと声を張る
蜃気楼を捕まえて
もどかしいと泣いている背中には
物語が綴られた
音速の色に乗って
情景は
風景に
風景は
背景に
背景は
情景に
不可避な三原色の永遠のしきたりを知らされど
あまつさえ、手懐けられる間もなく
表象を掬った
わたしは村を捨て
法外に出て
憂鬱を呑んで
光と闇に浮かされて
宇宙をものにすると決めた
夢に毒されたと笑う従者も
知恵の輪を外せないために
世界を見放した
重力は
愛憎の力学なのね
すぐさまここをずらかって
かなしみから通した眼差しで、景色の明るみを
認識しにいく

著者