廃墟

雷雲に遊覧船が閉じ込められるんだ
黒々とした鉛色の雲が
生暖かい風をさわさわ引き入れ
湿気に閉ざされた暗闇のなか
視界のどこかで、絶えず発光する
誰もいない廃墟の都庁のように
文明の熱量は瞬く間に冷えて
残り短い赤黒い石炭になった
太陽黒点付近、プロミネンス宇宙魚の産卵
磁場は愛し合い
生まれた神はすべてを犠牲にした
取り返しのつかない寂しさの分身を作り続ける
遊覧船のなかは、人っ子一人いない
市役所の廊下の自販機の明かりに似ていた

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