家出アート

仕事で失敗したり金がなくて困ったときは、さいあく実家に逃げちまえばなんとかなるというのが、ずっと頭の隅にあったが、それはぼくの中ではかなりダサいことなので、なんとかして回避しなければならなかった。

与えられているうちは自由ではないと知っていた。だから、どういう理由であれ実家暮らしというのは、自由の観点で頭打ちな気がしていた。家を出なければならなかった。

惰性に守られていると、脳は開いていかないことを十代中頃の少年は見抜いていた。

金も時間も自由も生み出していかないと、アートはままごとだ。

のっぴきならない死活問題がいつも自分にあるから、作りだせる。
世知辛い生活があるから
アートは、一層、純粋になるんだ。
それは、技術云々の話ではない。
純度というのは、技術で乗り越えられない。
残酷なような気もするけれど
だから、価値があるんだ。

著者