船長は蒸発した

船は
ゆらゆら揺れて
乗組員は次々に船を降りた
船長は蒸発した
いわば十五少年漂流記の如くである
船を信じるか
残った仲間を信じるか
自分を信じるか
信じきれるか
誰もが未熟だから
誰のせいでもないし
あるいは
全員のせいかもしれない
しかし消えてしまったものに
問い質すすべもない
ただ、いつまでも
亡霊は見え隠れする
地獄への使者が
手をこまねいていると疑えば
途端に、八方塞がり
ミイラ獲りがミイラになってしまったり
あるひとは笑い
あるひとは発狂し
あるひとは傍観している
スーパーヒーローは誰も居ず
三文役者が
脚本にいちゃもんつけるが関の山
ぶら下げられたニンジンに浮き足たっているうちに
時間は過ぎ
尚も船は進むことを辞さない
彼らはぼくにとっての脇役に過ぎぬ
ぼくは彼らにとっての脇役に過ぎぬ
彼らはぼくの視界から消えてしまった
揃いも揃って消えてしまった

著者