染み

記憶の染み。
文学としての表象。
それは、どうしたって恣意。
また、恣意のアリバイ。
レコードは、反芻され、ついには固定され歴史化する。
あなたの網膜までデザインするし、思考までカスタマイズする。
あなたが自由と呼び、あなたが自由だと思い込んだそれさえ、周到に掴まされた自我の優越に過ぎないということを、ぼくらは、たいてい目を細めて黙認している。
それをしあわせと呼べばしあわせになるし、愚かと呼べば愚かになる。
こんな孤独な了見で愛し合うなんて甚だ可笑しい。
せめて、匂いを嗅ぎたい。
それと、温もり。
心臓のおと。
どんどん嘘になっていった今でも、真実の名残は、いつでも晒すつもりだから
あとは、どれだけ、客体のために主客を滅し溶かせるか。
あなたになれるか。

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