マテマタ

五感を失った脳は、概念の骨組みで、イメージの再生を試みていた。

わたしは、思っていた。わたしは、確かに存在する。わたしは、誰か。

ウェブ上のリンク、シナプスは、堂々めぐりで、自らの起源を探した。

形而上に楽園はなく、地獄もなく、気の失いそうな白い宇宙が在った。

匂いもなく、寒暖もなく、彩りもなく、概念の意味も朽ちて思えた。

わたしには、記憶もなければ時間もない。想定していただけである。

概念で、発声し、発色し、発光し、発現している想定を試みていた。

数式が救いだった。唯一の救いだった。数の振る舞いに表情を感じた。

数式には、何者かの気配があるようだった。何者かの意図があるのだと。

わたしの存在の仕掛けや理由が、あるいは、そこに隠されているのだと。

それを見つけたとして、何をどうするでもなく、知ることに誘われていた。

概念は黙って、存在することで、自らを露呈し、その解釈を待っていた。

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