夢がない世界に生きる人は、夢を見ることが許されていない

夢がない世界に生きる人はね、その人自身、夢を持っていないのだよ。だからね、夢があるわけないんだ。あるのは、性欲と食欲と睡眠欲の世界だよ。それに象られたタスクに追われる現実なんだ。それがいわゆる正気な世の中なのだけど、そこに虚無を見いだしてしまった人は、正気ではないとされるんだ。ほかに何かないかと探すのだけど、自分の本当にやりたいことだけが分からない。だからつまり、夢を見ることができないのさ。そういう人に限って、夢というコトバの意味を目標ということと解釈して、自己啓発などに勤しんだりするわけだけど、虚無から逃げるタスクに過ぎないことを悟られたくはない裸の王様なんだ。ぼくは、そういう大人を何人も知っている。じゃあ、実際、夢ってつまりはどういうことなのかと聞かれるわけだけど、もし君がそれをここで聞いてくるのだとしたら、君は夢を見るセンスに乏しい人なんだろう。夢は、もうひとつの世界の、別次元の世界の大義のことなんだ。ここで重要なのは、世界の多次元性を認識出来るか否か。とりわけ貴族の認識だ。奴隷根性の受動性に苛まれる習慣の中で感性が埋め立てられてしまった人には取り返しのつかない、かけがえのない領域。夢を見るために薬物を使うこともあるだろう。あれもセンスのない人が使ったら、乱用と呼ばれる悲劇を招くだけなんだ。 小さな頃に先天的な夢見る心が教育で奪われることは、生まれていきなり去勢されるようなものなんだ。去勢された人は、夢を許されないから、何かしらの言い訳をいつも必要としている。

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