パラダイス

天才的な瞬間は確かにあって、それは得てして偶発的な事象であって、様々な条件が噛み合った折に立ちあえる。

けれども、大概はそんなことはありえない。

研ぎ澄まされた結果として、言い得て妙のストロークが放たれるのが常であり、それが道理だ。感覚を細やかに研ぐ日々というのは、しんどく忍耐を要する。

で、それらの理性的段階では、佳作で頭打ちだ。

佳作を並べるのは、名人とか職人と呼ばれるものだ。それも並々ならない。

しかし、理性の範疇を超えている次元の傑作を多くの人が潜在的に欲している。

むしろ、理性が後々追いつくほど直観的に心髄にストロークを及ぼすもの。

そういった類のものは、問題作とか危険思想だとか未知なるもの、端的に言って毒であろう。

作者は、毒で自らを滅ぼしながら生み出すか、毒の耐性を付けて魔物になるかである。

天才における甘き幻想は、頑なな現実により淘汰される。

しかし、その幻想こそ、先人が生み出してきた敬虔な毒の名残であり、クリエイティビティを想起させる灯火である。

著者